2026年9月
9月2日
今回発表されたメンバーを見る限り、明らかに「世代交代を意識した新しいサクラフィフティーン」という印象がある。浅利那未(アルテミ)、西舞衣子(アルテミ)、角川穂乃花(TKM)というノンキャップ選手3人が登録されている。特に18歳の浅利を先発FLに抜擢したことは、北川HCが「将来の可能性」を実際にピッチへ送り込む意思を明確に示したものだと思う。若い世代を積極的に起用した今回のフィジー戦は、単なる北川新HCの初戦ではない。2029年W杯へ向け、日本代表が新たな4年間の第一歩を踏み出す試合として位置づけるべきだろう。
今回のメンバー構成で興味深いのは、単純な若返りではないことだ。若手を大胆に登用する一方で、津久井萌をはじめとする経験豊富な選手もチームの中核に残されている。これは、過去を切り捨ててゼロから作り直すのではなく、これまで積み上げてきたものを土台に、新しい世代を加えていくという意思表示に見える。言うならば、北川ジャパンが選んだのは「破壊」ではなく「更新」である。そして昨年の関東/関西大会や全国大会で結果を残したチームを中心に選手選考していることはごく自然だが、男子代表を観てる者からすると非常に好感が持てる。
北川HCの初戦で期待したいのは、奇抜な戦術ではない。まずセットプレーで戦えること。接点で簡単に後退しないこと。そして、ただ速くボールを動かすだけではなく、相手を後退させたうえでスペースを使うことだ。
フィジーは、その力量を測るには格好の相手である。日本は過去の対戦で優位に立ってきたが、フィジーは高い身体能力と個々の突破力を持つ。一度試合がオープンな展開になれば、日本の組織力だけでは抑え切れない危険もある。ただしフィジーはランキング13位(日本は11位)。特に WXV Global Series では、フィジーは下位グループに属しているので、意地でも負けるわけにはいかない。
この試合で問われるのは単なる「速いラグビー」ではない。速く攻めるために、まず強く戦えるか。
ここが北川ジャパンの最初のテーマになるはずだ。接点で一人が倒されても、次の選手が素早く支え、ボールを継続し、相手を動かし続ける。その連続性を、より攻撃的なラグビーへと発展させられるかが注目される。
そして、この試合の最大の意味は、北川HCが2029年へ向けて「誰が使えるのか」を見極める最初のテストであることだ。ノンキャップ選手にとっては国際舞台への第一歩であり、若手にとっては主力候補へと浮上するチャンスになる。一方、経験者にとっても、新しいチームの中で自らの価値を証明する試合となる。小林花奈子のWTB起用も新しい価値観の創出だろう。
北川HCに初戦から完成形を求める必要はない。むしろ重要なのは、このチームがどこへ向かおうとしているのか、その方向性が見えることだ。
若い選手が思い切って挑戦し、経験者がチームを支え、その二つが噛み合う。その姿を見せられれば、すべてが完璧でなくとも、この初陣には十分な価値がある。

9月2日
サクラフィフティーンのノンキャップ選手の顔をくり抜きました。
是非、名前と顔を覚えてください。
一枚目:
浅利 那未(あさり なみ)
FL、横河武蔵野アルテミ・スターズ
二枚目:
西 舞衣子(にし まいこ)
WTB、横河武蔵野アルテミ・スターズ
三枚目:
角川 穂乃花(つのかわ ほのか)
WTB、YOKOHAMA TKM ※推し
1人の正方形は1辺1,000pxです。300dpiで印刷すると1辺が約85cmですので、適宜縮小/拡大してください。
・うちわに貼る
・顔だけ切り抜く
・目を開けて耳にゴム付けてお面にする
・超巨大印刷してJ SPORTS のカメラに抜かれる(笑)



9月3日
フィジー戦メンバーに、YOKOHAMA TKMより6名の選手が選出されました。
前列左から:
1吉田 菜美 / 16永岡 萌 / 8香川 メレ優愛ハヴィリ
後列左から:
19西村 澪 / 18藤 殊華 / 23角川 穂乃花
たくさんの応援よろしくお願いします。←広報かよ!

9月3日
週末のお楽しみ(備忘録)
今週はてんこ盛りです。

9月3日
個人的にはカナダ戦とPNCで「W杯メンバーをある程度固定させる」ことを願っていたのですが、合宿不参加選手が多数いるため、どうやらそれは叶いそうもありませんので、今回はメンバー個々人には言及しません。
個人的に注目したいのは、ランキング24位のカナダ相手の「勝ち方」です。
仮に40点、50点を取ったとしても、試合内容が雑然としていれば意義は薄れると思います。セットプレーを安定させ、エリアを支配し、相手のミスを確実に得点へ結びつける。優位に立った時に不用意なプレーでボールを失うのではなく、必要ならFWで圧力をかけ、必要ならキックを使い、試合を確実に支配する。そんな成熟した試合運びを見せてほしいです。
注目は、対戦相手がどこであれ、まずはディフェンスです。ワラビーズ第2戦で崩壊したディフェンスラインをどこまで修正できるか。そしてゴール前で我慢できなかったディフェンスをどこまで我慢できるか。モールディフェンスも課題でしたね。
セットプレーの完成度も見逃せません。これまで不安定さを見せてきたラインアウトやスクラムで、もしも格下相手にも苦しむようなら、来年のW杯を考えると不安は大きいです。確実にボールを確保し、相手にもプレッシャーをかけ、そこからモールやアタックにつなげる。その一連の流れを高い精度で遂行できるかを観たいです。
あと個人的な見どころは、龍之介が10番としてどこまでゲームを支配できるかです。SOに求められるのは、単なるランやパスやキックのスキルではありません。「今は走るべきか、蹴るべきか、FWを使うべきか、テンポを上げるべきか」を判断し、80分間ゲームを設計する能力です。今回は日本がボールを持つ時間も長くなることが予想されます。その中で龍之介が、ただ速く攻めるだけではなく、状況に応じて速度を変えながら試合をコントロールできるか。今後を占う上でも重要なポイントになると思います。
BKでは、CTBを軸にした攻撃にも期待したいです。日本代表は時に「ボールを動かすこと」そのものが目的になってしまうことがあります。しかし必要なのはパスの数ではなく、相手の守備をどう壊すかです。マキシやライリーが突破し、龍之介や廣瀬ら周囲が連動し、外側のWTBが仕留める。そんな明確な攻撃の形が見えれば大きな収穫になると思います。
そして何より重要なのは、「80分間、日本代表のラグビーを維持できるか」だと思います。これまでの日本代表には良い時間帯があっても、それが続かないという問題がありました。ハイボール処理、タックル、ブレイクダウン、エリア管理、ペナルティ管理、自陣での判断、得点機会の精度。派手なプレー以上に、こうした基本を80分間積み重ねられるかが問われると思います。
期待したいのは単なる大勝ではありません。80分後に、「日本代表はこういうラグビーをするチームだ」という輪郭が、はっきり見えていることです。そして「この勝ち方なら、次のアメリカ戦や(恐らく)フィジー戦、さらに秋の欧州遠征につながる」と思わせてくれる内容になるか。そこを基準に試合を観たいと思います。

9月3日
【今日の会話 / 秘書さん編】
私「明日15時に外出して直帰します」
秘「16時から社内Mtgが入っていますが」
私「来週に延期してもらうよう調整済です」
秘「承知しました」
私「直前になってすみません」
秘「...ひょっとして季節外れのお花見ですか?」
私「○○さんが秘書さんで良かったです」
秘「ふふふ」

9月3日
RGR 第3テスト
今週は上画像のメンバーです。背景は大好きな2人(デオン・フーリーとリロイ・カーター)にしました。下に先週作った第2テストのメンバー画像も置いておきます。
オールブラックスのメンバーですが、個人的にはもう少しチャレンジャブルなメンバーにしてほしかったです。この南アフリカ遠征には40名以上を連れてきているはずです。モウンガはワンチャンだとしても、イーサン・ブラッカダーをはじめイキの良い選手たちをもっと観たいです。勿論、勝利優先なのは分かるのですが、少し保守的な印象を持ちました。
スプリングボクス(以下、ボクス)は、誰が出ても問題ないですね。
しかし、両チームともどこかの国と違って、コンディション調整やピーキングも超一流なのですね。
さて、シリーズ前までは、「ボクスがこのシリーズを力で支配する」という空気が強かったと思います。しかし第1テストでオールブラックスが勝利し、第2テストでも僅差だったことで、構図はかなり変わりました。しかも今は、単純な「ボクス優勢」ではなく、両チームがそれぞれ違う完成形に近づきつつあるように見えます。
個人的に思う、第3テストの勝敗を分けるポイントは大きく3つです。
まず最大のポイントは、ボクスが「接点の試合」に持ち込めるか、それともオールブラックスが「テンポの試合」に変えられるかだと思います。第2テストでボクスが勝った最大の理由は、まさにここでした。セットプレー、モール、コンタクト、そしてプレッシャー。自分たちの得意な領域に試合を引きずり込み、オールブラックスに自由なテンポを与えませんでした。オールブラックスは4トライを奪いながらも、試合全体の主導権を完全には握れませんでした。
一方で、オールブラックスが第3テストで狙うべきなのは明確です。接点でボクスと正面衝突する時間を減らし、ボールを動かし続けること。特に重要になるのが、速いラック形成から生まれるSHキャム・ロイガードのテンポです。ボクス側も、彼を止めるためには前線で優位に立ち、オールブラックスに前進するボールを与えないことが必要だと認識していると思います。つまり、ロイガードを止めることと、オールブラックスの攻撃テンポを止めることは、ほぼ同義です。
第2のポイントは、ボクスの守備が修正されるかです。
ここは意外に重要だと思います。ボクスは第2テストを勝ちましたが、シリーズ2試合で9トライを許しています。これは、世界王者としては明らかに多いです。つまり、勝っているボクスにも、決して盤石ではない部分があるということです。
オールブラックスは、いま非常に危険な状態にあります。以前のような「圧倒的に強い完成されたチーム」とまでは言いませんが、攻撃の一つひとつに相手を破壊できる可能性があります。ボクスが守備で一瞬でもラインを乱せば、オールブラックスはそこを逃さないでしょう。特に外側のスペースを使わせると、試合は一気にオールブラックスの色になる可能性があります。
そして第3のポイントが、私は最も興味深いと思うのですが、80分間の試合運びです。
この2チームは、互いに「相手を倒す方法」を知っています。
ボクスはオールブラックスを遅くしたい。
オールブラックスはボクスを速く動かしたい。
だから第3テストは、単なるパワー対スピードではなく、「どちらが試合の時間を支配するか」の戦いになるのではないかと思っています。


9月4日
日本 12 - 15 フィジー
◆ 良かった選手、プレー
・6番:浅利那未(画像の選手)
タックル成功数:26(両チームTOP)
ドミナント・タックル:2(両チームTOP)
キャリー数:9(日本TOP)
トライ:1
驚異の新人が現れた。およそ18歳で初キャップとは思えないワークレートだった。何よりツラ構えが良い。時折カメラがとらえた表情は、終始落ち着いていたが眼はギラギラしていた。18歳で早くも紅蓮の境地に達してるようだった。大袈裟に言えば、「向こう10年、サクラのFLは安泰」。それくらい見事なパフォーマンスで、一発でファンになった。
・8番:香川メレ優愛ハヴィリ
No.8らしく力強いキャリーとタックルが印象的だった。
・4番:川村雅未、5番:佐藤優奈、7番:向來桜子
いずれも実績のある選手らしく、キャリーにタックルにジャッカルに活躍した。
・9番:津久井萌
落ち着いた球捌きと裏へのキック、そしてピンチを最小限に防ぐタックルと流石だった。特にタックル成功数はなんと10。SHでこの数字を叩き出せるのは世界中探してもデュポンくらいだ。そして最初の浅利のトライに繋がるターンオーバーも見事だった。
・11番:小林花奈子
従来はCTBだが、ランや左足の効果的なキックなど、今後の可能性を感じさせてくれた。
・モール
2本目のトライに繋がるモールなど、あのデカイフィジーFWを何度も押し込んだ。
◆ 気になった選手、プレー
・2番
インゴールノッコンをはじめ、特に日本が攻撃中のハンドリングエラーや被ターンオーバーが目立った。倒れ方やダウンボールに工夫がない印象(記録上は1個だが、それは日本がアドバンテージを貰った状態だから)。
・13番
キャリー数:3、タックル成功数:7
80分出場した割に存在感は薄かった印象。
・15番
最後にパスを貰う場面も、すぐにキックしてしまうのは癖なのだろうか。それが効果的なキックなら良いが、ダイレクトタッチも2本あった。意図の見えないプレゼントキックもあった。何より自分でラインブレイクしようとする意欲が見えなかった印象。
・16番
試合終盤の敵陣ゴール前での連続ラインアウトミス。ラインアウトミスはスローワーだけの問題ではないが痛かった。
・BK
相変わらず、横にパスするだけで手詰まりのアタック。この試合のトライ2本もFWによるものだ。縦に突破すべきCTBが機能していないので、全くラインブレイクできない。フィジーが13回ラインブレイクしたのに対し、日本はFL向來の1本のみ。松田凛日と松村美咲が不在なので、より迫力不足が鮮明だった。
・プレースキック
14番がPGを1本、コンバージョンを1本外した。さほど難しい角度・距離ではなかったので悔やまれる。
・インプレースキック
特にペナルティを貰った時のタッチキックの距離が出ない。あえて安全に外に出したのか、スキルが無いのかは不明。
・タックル
タックル成功率87%自体は悪くない数字だったが、13回もラインブレイクを許した。全体的には出足の早いラインディフェンスやダブルタックルは良かったが、中々一発で相手を倒せないので、オフロードを繋がれラインブレイクを許してしまう。
・スクラム
何度もフィジーに押し込まれた。
・ラインアウト
この試合を苦しくした最も大きな要因だ。ラインアウト成功率は9/13のわずか69%。しかも4つのミスがいずれも敵陣ゴール前でのミス。前述したがあの連続ラインアウトミスの後、また敵陣でペナルティを貰ったが、スクラムを選択せざるを得なかったのが象徴的だった。
・被ターンオーバー
特にハンドリングエラーと被ジャッカルが目立った。
北川HCの初陣は、一言でいうと「自滅」だ。
フィジーのペナルティは15、イエロー1枚、被ターンオーバー(ノッコンなどのハンドリングエラーで日本に攻撃権を渡してくれた回数)は見たことのない数字の28。散々相手がチャンスをくれた場面でラインアウトミス、ハンドリングエラーを終始繰り返した。ただでさえ得点力が低いのに、自分たちで悉くチャンスを潰したら、ランキング下位の相手にも足元をすくわれる。スクラムも終始劣勢だった。
まだチームとして始動したばかりなので成熟度が低いのは無理もないが、再来週からの WXV Global Series が思いやられる。メンバー構成含めて、少しずつでも沢山の課題を修正して欲しい。

9月6日
RGR 第3テスト
スプリングボクス 29 - 24 オールブラックス
第3テストは、まさにこのシリーズの核心を凝縮したような一戦だった。両軍とも4トライを挙げる壮絶な打ち合いだったが、最終的に勝敗を分けたのは、同じだけトライを取っても、80分間にわたって相手へ与え続ける圧力の質が違ったことだった。
オールブラックス(以下、ABs)は、立ち上がりから非常に良かった。テンポの速いパスワークと継続性でスプリングボクス(以下、ボクス)の防御を動かし、No.8サベアが2トライを挙げるなど、前半は明らかにABsのラグビーが機能していた。第1テストで見せた「ボクスの圧力を受け止めながら、そこから一気に外へ展開する」という攻撃的な設計思想は、この試合でも十分に通用していた。
しかし、この試合には大きな分岐点があった。
前半30分でのサベアの負傷だ。
サベアがピッチを去ったことで、ABsは攻守両面で失ったものがあまりにも大きかった。サベアは単なるNo.8ではない。接点で前進し、ブレイクダウンで存在感を示し、守備では相手の勢いを止める。この試合のABsにとって、彼は「攻撃の推進力」と「防御の精神的支柱」を兼ねていた。彼が去った後、試合は少しずつ、しかし確実にボクスの領域へ引きずり込まれていった。
そしてボクスの勝因は、何よりも「後半に試合を自分たちの競技へ変えたこと」だ。
前半まではABsのスピードと流動性に苦しみながらも、ボクスは決して自分たちの土俵を捨てなかった。スクラム、モール、ブレイクダウン、そして接点。ひたすら一つひとつの局面で身体をぶつけ、ABsに「楽なテンポ」を与えなかった。そして後半、その蓄積が効き始める。
CTBクリエル、HOマークスらが決定的な仕事を果たし、ボクスのFWは試合が進むほど存在感を増していった。ABsが前半に見せたスピードは消えていない。それでも、そのスピードを発揮するための土台――速いボール、前進する接点、余裕のある判断時間をボクスが徐々に奪っていった。
ここに、現在のボクスの恐ろしさがある。
ボクスは、ただ「パワーで押すチーム」ではない。第1テストではABsのスピードに屈し、第2テストから修正を加え、そして第3テストでは、相手の攻撃力を認めながらも最終的には自分たちの強みを80分間押しつけ切った。つまり彼らは、自分たちのラグビーを持ちながら、相手によって勝ち方を調整できるチームになっている。
一方のABsは、敗れたとはいえ、4トライを奪い、ボクスを最後まで追い詰めた。WTBジョーダンらの決定力も健在であり、攻撃の破壊力は依然として世界最高レベルだ。ただし、第2テスト、そしてこの第3テストを通じて浮き彫りになったのは、ボクスとの試合を80分間「速さ」だけで支配することはできないという現実だ。
ボクスを倒すためには、速いラグビーが必要だ。しかし、それだけでは足りない。
接点で耐える力。
セットプレーで崩されない力。
苦しい時間帯に敵陣から出られるキック。
そして何より、80分間続く肉体的な消耗戦の中でも、自分たちの精度を落とさないこと。
その中でもベンチワークは重要だ。
今日の5点差の勝敗を単純に「ボクスがABsを力で上回った」と総括するのは正確ではないだろう。むしろ、この試合で浮き彫りになったのは、試合の流れが変わり、それまで機能していたプランが通用しなくなった時、どちらが新しい答えをピッチに持ち込むことができたのか――その差だった。
前半のABsは非常に良かった。速いテンポでボールを動かし、継続的にボクスの防御を揺さぶった。SOラヴもその中心でゲームをコントロールし、ABsは自分たちのリズムで試合を進めていた。
しかし後半、サベアの負傷離脱によって、ボクスはさらに接点の圧力を強め、セットプレーで支配力を増し、ABsが得意とする速いテンポを少しずつ奪っていった。速いボールが出なくなり、前進が止まり、防御線は前へ出てくる。前半には存在していたスペースが、後半になるにつれて消えていった。
そして、その瞬間、ラヴの「ネタ」が尽きたように見えた。
もちろん、それをラヴ個人の責任とするのは酷だろう。10番というポジションは、周囲から供給されるボールの質によって大きく左右される。前進できず、速いボールも得られず、相手の防御が前へ出てくれば、どれほど優秀なSOでも選択肢は狭まっていく。
問題は、ラヴのアイデアが行き詰まった時、ABsが何を持っていたのか、ということだった。
答えは、ほとんど何もなかった。
ベンチにはアントン・レイナート=ブラウンとジョシュ・モービーがいた。レイナート=ブラウンは経験豊富で優秀なCTBであり、モービーも優れたWTBである。しかし、この試合の後半にABsが必要としていたのは、単純なポジション交代要員ではなかった。
必要だったのは、試合そのものを変えられる選手だったのかもしれない。
10番のゲームが行き詰まったなら、別の10番を入れる。あるいは15番からゲームを組み立てられる選手を投入する。12番を新たな司令塔として使い、攻撃の起点そのものを変える。
レニーさんが2人を選んだ理由は、おそらく「万能性」よりも、「既存のシステムを維持したまま、それぞれのポジションをカバーできる選手」を優先したからだろう。言い換えれば、ABsはベンチを「戦術変更の装置」ではなく、「怪我や疲労に対応するための保険」として設計していた。この試合のメンバー発表時に私が「保守的だ」とポストしたのはこの点だ。
ボクス戦ではまずFW戦に負けないこと。その上で、スターターのBKがゲームを作り切る。ベンチは必要なポジションを埋める。この考え方自体は理解できる。しかし、第3テストは、その設計の弱点を露呈した。
ボクスのような相手とのテストマッチでは、80分間ずっと同じプランを続けることはできない。前半に機能したスピードが後半も機能するとは限らない。スペースは消え、接点は重くなり、SOの選択肢は奪われていく。
だからこそ、23人の中には必ず「もう一つの答え」が必要になる。
あの後半、「ここにリッチー・モウンガがいれば」と思った。
モウンガは、単にラヴより経験豊富なSOだから必要なのではない。試合が予定通りに進まなくなった時、別の方法でゲームを作ることができるからだ。前へ出る防御の裏へキックを入れる。自ら仕掛けてラインを突破する。CTBとの関係性を変える。テンポを意図的に変化させる。そして何より、巨大なテストマッチの圧力の中で、前半に通用した答えが消えた後の「次の答え」を探すことができる。
ボクス戦を何度も経験してきたモウンガの存在は、まさにその局面で価値を持つ。
さらに言えば、ボーデン・バレットのような存在がいれば、ABsはもう一段違う選択肢を持つことができる。10番でも15番でもゲームに関与し、試合のテンポそのものを変えることができる。本来のABsには、こうした層の厚いゲームメーカーが存在する。
ABsは1勝2敗となり、後がなくなった。しかもサベアを負傷で失ったことで、第4テストはさらに難しい試合になる。だからこそ、第4テストではリッチー・モウンガ先発という選択肢は、十分に現実的だと思う。いや、むしろこの状況なら、レニーさんは決断すべき局面に来ているのではないだろうか。
これでボクスはシリーズ勝利に王手をかけた。これは精神的には非常に大きい。第1テストを落とした後に立て直し、第2、第3テストを連勝したので、「やっぱり最後はボクスが支配する」という空気感を作れた。
そして第4テストはアメリカ・ボルチモア。ボクスにとってはホームのプレッシャーからは解放され、且つシリーズを取るために無理をする必要がなくなり、自分たちのラグビーをより冷静に遂行できるはずだ。
逆にABsは「絶対に勝たなければならない試合」になった。その心理的圧力は、ボクスのようなプレッシャーラグビーを相手にすると非常に重くなるだろう。ただその状況でもモウンガを中心にABsが勝利し、半分に割れるトロフィーを半分ずつ持ち帰るところを希望する。

9月6日
叶わぬ夢

9月7日
TOP14 #1
ボルドー 64 - 5 ラシン92
開幕戦でボルドーが大爆発。
FLキャメロン・ウォキや韋駄天WTBルイ・ビエル=ビアレの2トライなど、計10トライでラシン92を蹂躙した。
サクラフィフティーンでモヤモヤ。
男子日本代表もモヤモヤ。
それを吹き飛ばしてくれるのがボルドー。
今季も応援するぞ~!

9月9日
今日は9月9日
SHの日ですね(多分違う(笑))
好きなSHの選手を挙げてみました。
左上から
ジャスティン・マーシャル(ニュージーランド)
ジョージ・グレーガン(オーストラリア)
フーリー・デュプレア(南アフリカ)
矢富 勇毅
津久井 萌
日和佐 篤
ジャミソン・ギブソン=パーク(アイルランド)
アントワーヌ・デュポン(フランス)
マキシム・リュキュ(フランス)

9月10日
角川選手
誕生日おめでとうございます
益々素敵な1年になりますように
TKMでも日本代表でも、
体に気をつけて頑張ってください
ずっと応援しています

9月10日
アメリカ代表
アメリカの選手はほとんど分かりませんので、自分の為にも日本戦メンバーの顔と名前を作りました。
アメリカは、直近のNations Cupではポルトガル、ジンバブエ、スペインに3連勝。さらにアルゼンチンXVにも 25 - 24 で勝ってます。この4試合だけを観た限りでは、「フィジカルを前面に出しながら、かなり組織的に陣地を取ってくるチーム」という印象です。ハイボールも戦術として多用していました。あと13番が良い動きをしていました。
...それだけです、すみません

9月11日
╭━━━━━━━━━╮
モウンガ is back!
╰━━━━v━━━━╯
RGR 第4テスト
今週は上画像のメンバーです。下に先週作ったメンバー画像も置いておきます。
とうとうモウンガがオールブラックスに戻ってきました。2023W杯決勝以来ですね。いや~楽しみです。あとは頭部負傷から復帰したデグルート、待望論の大きかったブラックアダーやイオアネも入ってますね。ボーディーは今年初出場ですかね。
一方、先週からボクスが変更したのはわずか2人。負傷したコルビに代わってウィレムセがFBに入り、SHのモルネ・ファンデンバーグが先発メンバーに抜擢されました。
いよいよ後がなくなったオールブラックスが意地を見せるか。
ある意味余裕のボクスが王者の地位を完全に確立するか。
楽しみ過ぎます!!


9月11日
週末のお楽しみ(備忘録)
今週はどれも見逃せません!!

9月12日
ヘルはあと数週間
9/10、フランスのラグビー専門サイトMIDI OLYMPIQUE(RUGBYRAMA)の
「TOP14 第2ラウンドの負傷者報告」
に、リヨンのオペティ・ヘルの情報が載っていたので、該当部分の訳をシェアします。
『リヨンは、堅実な右PRのオペティ・ヘル(ふくらはぎ)と、火曜日の練習中に膝をひどく捻挫したSOのレオ・ベルデューを、あと数週間は欠くことになるだろう。』
早く治ると良いですね。
9月13日
RGR 第4テスト
スプリングボクス 43 - 28 オールブラックス
前半は 17 - 14 と、オールブラックス(以下、ABs)が十分射程圏内につけていました。ABsはHOテイラー、WTBジョーダンが得点し、32フェイズに及ぶような長い攻撃を成立させるなど、ボールを動かす能力では決してスプリングボクス(以下、ボクス)に劣っていませんでした。
後半に入ると、ボクスがFWの圧倒的なパワーと、巧みなキック・ハイボール戦術で試合を支配しました。CTBデアレンデ、FLデュトイのトライで一気にリードを広げました。ABsもFLブラッカダーのトライで 29 - 21 と追いすがりました。
しかし71分、ボクス陣内に侵入したABsでしたが、WTBモービーへのタックルが速かったように見えたシーンでペナルティと思ったのか、、ABsの全員の足が止まった瞬間にWTBアレンゼが一気にゴールまで駆け抜けました。個人的にはレフリーには空気を読んでペナルティにして欲しかったですが、これでABsの集中の糸が切れたようでした。
ボクスは、ゲームの局面そのものを選手交代によって変えることができます。スクラム、接点、キャリー、ブレイクダウン、そして22m内でのプレッシャーを、後半になればなるほど強めていきます。第4テストでも、ボクスの「Bomb Squad」が後半の圧力を増幅させ、試合の主導権を奪っていきました。80分間を通して相手に同じ強度を維持させないボクスのシステムそのものが、最後にABsを上回った印象です。
4試合を並べると、
第1テスト:ボクス 16 - 33 ABs
第2テスト:ボクス 33 - 26 ABs
第3テスト:ボクス 29 - 24 ABs
第4テスト:ボクス 43 - 28 ABs
という結果です。
第1テストではABsがボクスを圧倒しましたが、そこからボクスは明確に修正してきました。第2テストではフィジカルとプレッシャーを前面に出し、第3テストではABsが12ペナルティを犯し、SOラヴのイエローカードも絡んでボクスに得点機を与えました。そして第4テストでは、ボクスが最終的に43点まで積み上げました。
ここから見えるのは、
「ボクスは相手に合わせて戦える」
ということです。
第1テストでABsのスピードと展開力にやられた後、それを単純に否定するのではなく、自分たちのフィジカル、セットピース、キック、プレッシャー、選手層という武器を組み合わせて、シリーズの主導権を奪い返しました。これは非常に強いチームの特徴です。
一方、ABsは「弱くなった」のではありません。ここは今回のシリーズで誤解してはいけないところだと思います。3 - 1 という数字ほど、ABsとボクスの差は大きくありません。むしろ第2、第3、第4テストはいずれも、ABsが十分勝てる時間帯を持っていました。特に第3テストは4トライずつ。第4テストでもABsは4トライを挙げています。つまり、攻撃力そのものがボクスに完敗したわけではありません。問題は、試合を決定する局面でボクスよりミスが多かったことです。規律、セットピース、ブレイクダウン、ゴール前の守備。そして何より、80分間のゲームマネジメント。第3テストでのペナルティ12個は、その象徴でした。
また、アーディ・サヴェア、ルーク・ジェイコブソンらの離脱という事情もあり、シリーズ終盤のABsは選手層という意味でも厳しくなりました。
このシリーズで一番大きかった差は「強さ」より「厚み」。今回の4試合を総括するなら、私はここに尽きると思います。ボクスは「強い」のではなく、「強い選手が多く、しかも違う種類の強さを持っている」。これがABsとの最大の違いでした。
先発15人だけなら、両者の差はかなり小さい。しかしベンチを含めた23人、さらに40人、50人というスコッド全体で比較するとボクスが一歩、いや現時点ではかなり先を行っています。
スクラムを強化したければ交代する。
キャリーを強化したければ交代する。
ブレイクダウンを強化したければ交代する。
ゲームを締めたければ別のタイプを投入する。
この「選手交代による戦術変更」がボクスの大きな武器になっています。そして、これは2027年W杯では極めて大きな意味を持つでしょう。
68,173人を集めたボルティモアでの最終戦は、アメリカにおけるラグビーの市場拡大という意味でも大きな一歩でした。
そして、これだけ濃密な4試合を経た両国が、来年のW杯で再びノックアウトステージでぶつかるとしたら...まだまだグレイテストライバル関係は続きます。

9月13日
WXV Global Series 開幕戦
レッドローズ 48 - 15 ワラルーズ
前半は、ワラルーズの完璧なゲームプランとフィジカルな防御がレッドローズを完全に圧倒しました。ワラルーズはブレイクダウンで非常に鋭くプレッシャーをかけ、レッドローズの前進を徹底的に阻止しました。さらに、攻撃でも好機を確実にものにし、PRファリキ・ポヒヴァのトライなどで10点を先取。世界女王をパニックに陥れました。
レッドローズはスタティック(静止した状態)からの攻撃が多く、ノッコンなどの細かいミスを連発。またWXVから本格導入された「3%小さくなった新しいスマートボール(4.5号球)」の影響もあったか、いつもの鋭いハンドリングが見られず、ラインアウトも乱れに乱れ、FLアビ・バートンの1トライのみに抑え込まれました。
記憶が正しければ、レッドローズが前半終了時点でリードを許したのは、2020年11月のフランス戦以来、約6年ぶりの出来事だと思います。
しかし、ハーフタイムを挟んでレッドローズのジョン・ミッチェルHCが施した「スピードアップ」の指示と積極的な選手交代が試合をひっくり返しました。後半開始早々、HOメイ・キャンベルのトライで逆転すると、50分すぎにはフロントローを3人同時に交代。これが的中し、デビュー戦となったHOブライオニー・フィールドがラインアウトモールから即座にトライを奪うなど、代わって入った選手たちが一気にテンポを上げました。
試合後のRugbyPASSのレイティングでは、先発選手の最高がバートンの「8点」に対して、控え選手が一括りで「9点」となっていたのが象徴的でした。
前半に激しいディフェンスで体力を消耗したワラルーズは、レッドローズのギアチェンジについていくことができず、最終的に後半だけで7つのトライを許す結果となりました。

9月13日
【今週の愛されキャラ】
田邉さん「凄い可愛らしい顔してますから。なんかのキャラになりそうな」
矢野さん「そうなんですよ。こうハートを掴まれる感じの」
田邉さん「人気出そう」
藤島さん「この人を嫌いになるのは無理だ」
矢野さん「はははは、175cm/110kg、今所属が静岡ブルーレヴズ」
9月17日
【楕円球大言葉】
前へ! 25年前の機上のラグビー
(藤島 大 / JustRUGBY)
しばらく言葉が出てこなかった。
ラグビーの記事を読んで、これほど深く心を揺さぶられることがあるのかと思った。試合の勝敗でも、戦術でも、選手のプレーでもない。そこに描かれているのは、25年前のある一日の記憶と、その記憶を今日まで抱えて生きてきた人々の姿だった。
9・11。その言葉を知らない人はいない。けれど、時間が経つにつれて、巨大な歴史的事件は数字や映像や「過去」という言葉の中に収められていく。藤島さんは、そこに一人ひとりの人間を呼び戻す。
ユナイテッド93便に乗っていたマーク・ビンガム。ジェレミー・グリック、トッド・ビーマー、トム・バーネット。そして、彼らが最後に選んだ「前へ」という行動。
特別な英雄が、特別な場所にいたわけではない。昨日まで普通に生きていた人間が、その瞬間、自分の人生の先にあるものを知りながら、それでも誰かのために前へ出た。その事実が、ラグビーという競技を知っている者の胸には、あまりにも直接的に響いてくる。
ラグビーでは「前へ」という言葉は、ごく当たり前に使われる。ボールを前に投げることはできない。だから、自分自身が前へ出る。誰かが倒れれば、その身体を越えて次の人間が前へ出る。ひとりでは届かない場所へ、仲間とともに進んでいく。それは単なる競技上の原則ではないのかもしれない。
藤島さんは、2026年の日本対アメリカ戦から、25年前の93便へと時間を遡る。そして再び、現在のラグビーへ戻ってくる。その時間の往復の中で見えてくるのは、「ラグビーは何を記憶しているのか」という問いだ。
アメリカ代表のジャージーに刻まれた小さな名前。そこには、25年前に失われた命を忘れないという意思がある。大きな言葉ではない。派手なセレモニーでもない。ただ、背中に小さく名前を記す。しかし、その小さな文字が、25年という時間を越えて、ひとつのラグビー場に現れる。
それを見つけた藤島さんが、そこから記憶の糸をたぐり寄せ、私たちに手渡してくれた。そのことが、たまらなく尊いと思う。
ラグビーには、人間が積み重ねてきた時間を、次の人間へ渡していく力があるのだと思う。ボールを渡すように、記憶を渡す。誰かが受け取ったものを、また次の誰かへ渡していく。だからこの記事を読み終えたとき、「感動した」という言葉だけではどうしても足りないと感じた。悲しみだけでもない。英雄への敬意だけでもない。ラグビーへの愛情だけでもない。25年前の死者たちと、いまグラウンドに立っている選手たちと、この記事を読んでいる私たちが、ほんの一瞬だけ同じ時間の中にいるような感覚がある。それは、ラグビーが持つ不思議な力なのだろう。
そして最後に残るのが、「前へ」という言葉なのだと思う。過去を忘れて前へ進むのではない。過去を抱えたまま、それでも前へ進む。失ったものをなかったことにするのではなく、その記憶を背負い、次の誰かへ渡しながら前へ進む。
藤島さんの文章は、ラグビーを語りながら、結局のところ「人間はどう生きるのか」というところまで静かに連れていってくれる。

9月17日
週末のお楽しみ(備忘録)
PNC決勝、さてどうなりますかね。
サクラフィフティーンの試合は、J SPORTS でも RugbyPASS TV でも放送・配信はありませんが、
ライブ配信
がありますので、よろしければ。

9月17日
フィジー代表
日本戦のメンバーが発表になりましたね。折角ですので、日本語表記を載せておきます。
1 ペニ・ラヴァイ
2 テヴィタ・イカニヴェレ
3 メサケ・ドンゲ
4 メサケ・ヴォデヴォデ
5 テモ・マヤナヴァヌア
6 キティオネ・サラワ
7 モティキアイ・マリー
8 エリア・ザナカイヴァタ
9 フランク・ロマニ
10 ケイレブ・マンツ
11 マナサ・マタエレ
12 ツイドラキ・サムサムヴォドレ
13 ビリミ・バカタワ
14 ジョジ・ナソヴァ
15 アイザイア・アームストロング=ラヴラ
16 カヴァイア・タギヴェタウア
17 ヴィリケサ・ナイラウ
18 サム・タワケ
19 イソア・トゥワイ
20 ペナイア・ザコンバウ
21 サム・ワイ
22 イシケリ・ランビトゥ
23 アイザック・ラツマイトゥヴキ-ニープケンス
カナダ戦の先発からは、8、10、12、15が替わりましたね。
キャプテンは、みんな大好き、ホンダのイカニヴェレです。
JR東日本に加入したLOイソア・ナシラシラは、カナダ戦には出場しましたが、日本戦は残念ながらメンバー外です。レッハリに加入したタマニバルも入りませんでした。
控えは特に経験の少ないメンバーが多いですね。
17、23が出れば初キャップ。16、19、20はキャップ1、22は2キャップです。18は今季初出場ですかね。
ただ、後述する主力メンバーはいませんが、23人中18人がフィジアン・ドゥルア所属ですから、チームワークや連携は間違いないでしょう。
ちなみにNations Championship(以下、NC)とPNCでは、フィジーのメンバー編成はかなり異なります。NCでは欧州で活躍する、以下の主力メンバーがいましたが、TOP14はもう新シーズンが始まってますし、PREMも来週から開幕ですから、PNCには帯同していません。
◆ TOP14組
FLピタ・ガス・ソワクラ(クレルモン)
FLペゼリ・ヤト(ペルピニャン)
WTBチウタ・ワイニンゴロ(リヨン)
WTBセレスティノ・ラヴタウマンダ(ラシン92)
CTBチョスア・トゥイソヴァ(ラシン92)
FBサレシ・ラヤシ(ボルドー)
◆ PREM組
PRエロニ・マウィ(サラセンズ)
フィジー代表は、上記の主力がいたにもかかわらず、NCでウェールズ、イングランド、スコットランドに3連敗を喫しました。とりわけイングランド戦では 8 - 73 という記録的な大敗を喫し、世界のトップレベルに対する現在地を厳しく突きつけられました。フィジーらしい個人技とランニング能力は十分に発揮されました。それでもセットピースや守備、規律、そして試合終盤のゲームコントロールに問題を抱えました。ウェールズ戦でも後半に突き放され、イングランド戦では大量失点、スコットランド戦でも前半 17 - 7 とリードしながら後半に崩れています。
その意味では、カナダ戦の 45 - 29 には大きな意味があると思います。TOP14組などかなりの主力を欠きながらも、新たな選手を組み込んだ編成で7トライを奪い、フィジー固有の破壊力を示しました。
PNCのフィジーは「主力がいなくて弱くなったフィジー」ではないと思います。NCの3連敗を受け、セルヴァクラ暫定HCがチームの弱点を洗い出し、2027年W杯に向けてもう一度選手層を組み直している「再編中のフィジー」と言えるかもしれません。
そして、これは日本代表にとって怖さであると同時に、明確な勝機でもあると思います。現在のフィジーは未完成ながら、ボールを持った瞬間に試合を破壊する個人能力と攻撃力を備えています。しかし一方で、守備、規律、ゲームマネジメントには不安が残ります。日本が不用意なミスやターンオーバーを減らし、試合のテンポをフィジーに渡さず、複数の角度から攻撃を仕掛けて80分間判断を迫り続けることができれば、付け入る隙は十分にあると思います。
つまりPNC決勝は、「完成された強豪フィジーに日本が挑む試合」ではありません。むしろ、「新しいフィジーが完成する前に、日本がその隙間を突けるか」という戦いだと思います。フィジーの個人能力には敬意を払いながらも、試合そのものは日本が管理する。その覚悟と実行力があれば、日本には十分に勝機があると個人的に思います。

9月17日
RUGBYPASSによる
RGRにおけるスプリングボクス全30選手の評価
が発表されました。
全30選手中トップは、マルコム・マークスでした。
昨年、ワールドラグビー男子15人制年間最優秀選手賞を受賞したマークス。
今更ですが、本当に、本当に、世界一の選手なんですね。

9月17日
PNC決勝、フィジー戦の日本代表メンバーが発表になりました。
今回のメンバーで最も興味深いのは、WTB長田智希の先発復帰です。
長田は、いわゆる「大外で待ち、最後にボールを受けて走り切るだけのWTB」ではありません。パナでも、状況判断に優れ、内側のスペースへ走り込んだり、味方との連係で防御網を崩したりする、ラグビーIQの高い選手だと思っています。
個人的に長田に期待したいことは、三つあります。
① BKアタックの選択肢を増やすこと
アメリカ戦では、日本のBKが複数のアングルから攻撃を仕掛け、停滞した局面でも修正を見せました。長田の起用によって、その流動性がさらに高まる可能性があります。長田は、外に張るだけでなく、内側へ切り込むランニングや、CTB・FBとの連係によって相手の守備に迷いを生じさせられる選手です。伊藤、廣瀬、ライリーらとの間で、単純な「10番から11番」という攻撃に終わらない、複数の走路を持つBKアタックを構築できるかが見どころだと思います。
② フィジーの守備に判断を迫ること
フィジーは個々の身体能力、とりわけ接点後の突破力やタックルを受けた後の継続能力に優れています。しかし、守備側に複数の判断を要求し続けることができれば、局面によってはその強みを逆手に取ることもできます。長田には、相手の守備ラインをただ正面から破るのではなく、走るコースとタイミングを変えながら、フィジーの守備組織に綻びをつくる働きを期待したいです。
③ 守備とキック処理での安定感を示すこと
フィジー戦では、ボールを保持して攻め続けるだけではなく、相手のランナーを止め、蹴られたボールを処理し、陣地を回復する能力も重要になります。長田には、攻撃面での存在感だけでなく、WTBとしての守備判断、キックへの対応、カバーリングを含めた総合的なパフォーマンスを求めたいです。特に日本代表は、強豪国との対戦でハイボール処理やエリアマネジメントに課題を残してきただけに、ここは注目点です。
長田の先発復帰は、単に「久しぶりに観られる」という話ではなく、日本代表のWTBに、どのような攻撃的役割を与えるのか。 その答えを示す機会になるはずです。期待してます。

9月20日
WXV Global Series
サクラフィフティーン 21 - 55 イタリア
数字だけを見れば完敗である。だが、本当に重いのは55失点ではない。14 - 12 とイタリアを一度は逆転しながら、その後の試合を自分たちの手に取り戻せなかったことだ。あの 14 - 12と、最後の 21 - 55。その落差こそが、いまのサクラフィフティーンの現在地を容赦なく映し出している。
日本の2つのトライは、いずれもラインアウトからのモールだった。1本目がFL浅利那未。2本目がHO公家明日香。FWが前へ出れば、世界6位のイタリアにも通用する。ここには明確な武器がある。問題は、その武器を消された後だ。イタリアがモールへの対応を修正すると、日本の攻撃は急速に色を失った。3トライのうち2本はモール、残る1本は試合の趨勢が決まった終盤のLO川村雅未。BKが相手守備を崩し、そこからトライを奪う光景はこの試合も最後までほとんど見られなかった。
今回のBKの顔ぶれを見れば、9番と12番以外が世界で戦うレベルに達していないのは明らかだが、これは「BKの決定力が足りない」というだけの話ではない気がする。
FWが作った前進を、BKが攻撃として増幅できていない。9番から10番へ。10番から12、13番へ。さらにWTB、FBへ。縦を止められれば外へ、外を締められれば内へ。相手が前へ出れば背後を取る。強豪国には、最初のプランを潰された後に出てくる二の矢、三の矢がある。
日本には、その手札が圧倒的に少ない。そしてそれは、構造的な問題なのか、残念ながらここ数年、何も改善されていない。
イタリアは違った。縦への突破、オフロード、素早いボール展開を重ね、一人目を止められても攻撃を止めない。日本は一つの局面では耐えても、次の局面でまた守らされる。守って、下がって、また守る。やがてタックルミスが増え、自陣に釘付けになる。ペナルティはイタリアの3個に対し、日本はなんと18個。
そして、ここで見えてくるのは単純なフィジカル差ではない。試合を支配する力の差だ。苦しい時間帯に一度陣地を取り戻す。テンポを落とす。キックで相手を下げる。敵陣へ入り直す。あるいは、自分たちの得意なセットピースへ戻る。そうして試合をリセットする。その術を、日本は持ち切れていない。
だからこそ、今回のBK批判は個々の選手への批判で終わらせてはいけない。問われているのは、BKをどう機能させるのかというチーム設計そのものだ。FWには、すでに世界と戦える武器がある。ならば次に必要なのは、そのFWの前進をBKが得点へ変換すること。そしてBKが攻撃で見せるスピードを、守備でも発揮することだ。
現状は厳しく言えば、「モールが通っている間は強い。しかし、そこを消された後のラグビーが弱い」。これは世界の強豪を相手にするには、あまりにも心許ない。
これはマッケンジー体制が7年かけても乗り越えられなかった壁であり、北川HC体制が4年間で乗り越えるべき壁でもある。
個人的な希望の星は、18歳のFL浅利那未だ。フィジー戦に続き、出色のパフォーマンスを見せた。
・キャリー数:14(両チームTOP)
・タックル成功数:17(日本TOP、両チームTOPタイ)
・ラインブレイク:1
・トライ:1
日本は格上との対戦を通じて現在地を測る試合としてこの遠征を位置づけている。 そして次戦は世界ランキング5位のアイルランド。9月27日にアウェーで対戦する。さらに10月3日にもアイルランド、10月24・31日にはウェールズとの試合が控えている。
試合の楽しみが浅利那未の成長だけにならないように祈るばかりだ。

9月20日
【今週のサトケン(架空実況解説)】※音声OFF
実況「さあ、日本のモール!フィジーが佐藤に襲い掛かる!ジャージが脱げかかっている!いや脱がされた!それでもボールは離さない!」
解説「文字通り、身を削っています」
実況「すごいですね!佐藤は最後まで両腕でボールを抱えています!」
解説「ジャージよりボール。身だしなみよりポゼッションです」
実況「まさに身を挺してボールを守りました!」
解説「日本代表HO佐藤健次。ジャージが脱げても、魂は脱げません!!」
実況「...あんた、さっきから何言ってんだよ」
9月21日
モヤモヤ再び
今日、
日本ラグビー協会からお知らせ
が出ていました。
◆ タイトル:9/21更新)男子日本代表 宮崎合宿 参加メンバーのお知らせ
◆ 内容:グレン・ジャクソンアシスタントコーチにつきまして、2027年シーズンの「California Legion(カリフォルニア・レギオン)」(アメリカ・MLR)のヘッドコーチに就任することが決まりました。
※同氏は2027年3月1日から6月30日までの期間は男子日本代表チームを離れ、7月1日よりRWC2027終了後まで男子日本代表アシスタントコーチを務める予定です。
また変なタイトルでしれっと重要なことをお知らせしてましたが、百歩譲ってそれは置いといて、内容がこれだけですので、素朴な疑問がいくつも出てきます。
質問①: MLRの開幕は3月だけど、プレシーズン期間はアメリカにいなくていいの?
回答①:ジャクソンさん不在時は、既存コーチ陣が準備するから大丈夫。戦術共有や選手選考はリモートでも出来るから大丈夫。
質問②:逆に3~6月はリーグワンが佳境だよ。選手の調子や新戦力の台頭を見極めなくていいの?
回答②:エディーさんと他のアシスタントコーチ陣や分析スタッフがいるから大丈夫。それにアメリカからでも映像を確認できるから大丈夫。あと3月までには、戦術作っておくから大丈夫。
質問③:そもそも6月から日本代表の活動始めるけどいなくていいの?
回答③:②と同じで大丈夫。
質問④:日本とアメリカが2027年W杯のプールで同組なのに、利益相反などの道義的リスクはないの?
回答④:ラグビー界では「よくある文化」だから大丈夫。
協会からの説明があれだけなので、回答は想像するしかありません。
ただこの疑問だけは回答が想像つきません。
「MLRが眼をつけるくらい優秀なコーチなら、協会側が固辞することも出来たんじゃないの?」
9月22日
イメージ

9月23日
昨日から長男が泊まりに来てました。次男も珍しく家に居ました。
ご飯、居酒屋、カラオケ、ボーリング。久々に家族団欒しました。仕事、彼女、映画、音楽、お笑い、政治、健康。色んな話をしました。会話の端々に、子供たちの成長が感じられて嬉しかったです。何より、嫁さんが一番楽しそうだったのが嬉しかったです。
ウチはもうどっちの爺ちゃんも婆ちゃんもいないので、敬老の日には、プレゼントくれます。今年は翔くんが宣伝してる疲労回復パジャマを貰いました。良いシルバーウイークになりました。
明日からお仕事開始の方々、また頑張りましょう!

9月25日
週末のお楽しみ(備忘録)
今週の目玉は、レッドローズ対ブラックファーンズ。先週カナダと引き分け、2022年からの連勝記録を39で止められたレッドローズ。また連勝街道に戻るのか、それとも。。。
会場はアリアンツ(旧:トゥイッケナム)。既にチケットが5万枚以上売れてるとのことです。

9月28日
オーストラリア 42 - 38 南アフリカ
見事な番狂わせでした。パースで行われた試合は、オーストラリア(以下、ワラビーズ)が南アフリカ(以下、ボクス)を撃破。しかも一時は 42 - 17 と25点差をつけながら、終盤には4人がシンビンとなり、最後の10分間をわずか11人で耐え抜くという、まさに壮絶な試合でした。
この試合で最も大きかったと感じるのは、単純な「ボクスの不調」ではなく、ワラビーズがボクスの強みを真正面から受け止めながら、自分たちの武器を明確にぶつけたことです。
ボクスは序盤、いつものようにモール、フィジカル、ブレイクダウン、キックを軸に試合を組み立てました。実際、10分にはラインアウトからのモールでHOヨハン・グロベラーがトライ。ボクスらしい「力で前進するラグビー」は健在でした。
ところがワラビーズは、そこから試合のテンポを一気に上げていきます。特に印象的だったのが、キックを単なる陣地獲得ではなく、攻撃そのものとして使ったことです。ハイボールとチェイスを組み合わせ、ボクスのバック3にプレッシャーをかけました。さらに、ボールを持てば素早く展開して、ボクスの守備陣が整う前に外側を突きました。
その象徴がCTBレン・イキタウでした。
イキタウは前半だけで2トライ。ボクスの強固な守備ラインに対し、ワラビーズは単純な正面突破だけではなく、スピード、角度、ボールの動かし方で守備の「間」を攻めました。最終的にイキタウは53分に負傷交代しましたが、前半に残したインパクトは極めて大きかったです。
もう一つ非常に興味深いのが、ワラビーズが空中戦を積極的に仕掛けたことです。ジョセフ=アウクソ・スアリイをWTBに置いたのも、その象徴でしょう。キックオフからスアリイがジャンプしてボールを確保するなど、単なる配置変更ではなく、明確に「空中戦の武器」として使っていました。
ボクスといえば、むしろ相手にハイボールを浴びせて競り合いを強いる側です。そのボクスに対してワラビーズが、「こちらも空中戦で勝負する」という姿勢を見せました。ここが非常に面白いです。ボクスはこの試合、空中戦で十分な優位を作れず、さらにミスも重なりました。ボクスが空中戦を失い、精度を欠き、普段のようなスクラム支配も確立できなかったことは敗因として挙げられるでしょう。
そしてもう一つ重要なのが、ボクス側の大量のメンバー変更です。
ボクスはオールブラックスとのRGRシリーズを3勝1敗で終えた直後で、そこから先発13人を変更。残ったのはLOエベン・エツベスとWTBイーサン・フッカーの2人だけでした。もちろん、ボクスには圧倒的な選手層があります。控えにはマークス、ンチェ、ロウ、デヤハー、ヴィーゼ、ファン・デン・バーグ、ムンゴメズルらが並んでいました。
しかし、この試合を見る限り、「選手層が厚い」ことと「いつものボクスができる」ことは別問題だったのでしょう。とくに前半から細かなミスが積み重なりました。ボクス自身の公式レポートも、前半に「多すぎるミス」があったと認めています。
一方のワラビーズは、新体制のもとで着実に積み上げてきた勢いがありました。これでレス・キッス体制では2026年、4勝1分けで無敗を継続しています。
実はこの試合、42 - 17 になった時点で終わっていても不思議ではありません。しかしボクスはそこから猛烈に追い上げます。問題は、ワラビーズが最後に4人をシンビンで失ったこと。最終盤にはわずか11人。普通ならボクスが人数差を利用して押し切る場面です。ところがワラビーズは最後まで耐えた。ボクスは最終的に38点まで追い上げましたが、あと1トライが届かなかった。「勝った」というより、「最後の10分間を生き残った」という表現のほうが、この試合にはふさわしいかもしれません。
総括すると、この試合は単なる「ボクスの取りこぼし」ではありません。ワラビーズが、ボクスをボクスのラグビーで倒そうとはしませんでした。速いテンポ。空中戦。外への展開。スペースへのアタック。そして何より、失敗を恐れず攻撃し続ける姿勢。対してボクスは、オールブラックスとの激戦直後という事情もあり、メンバー変更による連係不足とミスが重なった。それでも終盤には王者の底力を見せました。
だからこそ、この 42 - 38 は興味深いです。
世界王者が弱かったのではなく、ワラビーズが「世界王者を倒すためのラグビー」を80分近くやり切った。しかもボクスが最後に牙を剥いたときには、11人でゴールラインを守り切った。2027年W杯を約1年後に控えた今、この勝利はワラビーズにとって単なる一勝以上の意味を持つでしょう。実際、現地報道もこの勝利をW杯への「警告」と位置づけています。
そして日本代表の視点から見るなら、非常に興味深い試合です。「世界王者を倒すには、世界王者以上のフィジカルが必要なのか?」という問いに対し、ワラビーズは別の答えを示したからです。スピード、空中戦、ボールの動かし方、そして相手の強みを消すゲームプラン。このあたりは、現在の日本代表が世界トップとの差を縮めるうえでも、かなり示唆の多い試合だったと思います。

9月28日
萌ちゃん、おめでとう!!
