アビー・ダウを継ぐ者 - ミリー・デヴィッド 🎦


2026年4月28日

長らくレッドローズのWTBとして、そして世界一のWTBとして活躍していたアビー・ダウが2025W杯後に現役を引退した。

そして迎えた女子6Ns(シックス・ネーションズ)第3節のウェールズ戦で、ダウの「後継者」と言うべき選手が現れた。彼女の名前はミリー・デヴィッド。

デビッドのラグビーキャリアは、11歳の時に地元のラグビークラブで始まり、その後ワスプスのアカデミーを経て、最終的にブリストル・ベアーズに移籍した。彼女はU18およびU20のイングランド代表としてプレーした後、今回の女子6Nsで初めてシニア代表に招集された。

デヴィッドは若干20歳ながら、すでに国内屈指の得点力を持つ選手の一人であり、PWR(プレミア女子ラグビー)昨シーズンでは16トライを挙げてトライ数トップタイに輝き、シーズン最優秀新人賞を受賞した。今シーズンも既に9トライを挙げている。

デヴィッドの最大の特徴は、綺麗な顔立ちからは想像できない逞しい下半身から繰り出される圧倒的なスピード、そしてトライラインへの飽くなき執念だ。単にスピードだけなら、レッドローズのエリー・キルダンやジェス・ブリーチ、ブラックファーンズのケイトリン・ヴァハアコロやブラクストン・ソレンセン=マギーたちにも決して引けをとらないだろう。

ちなみにデヴィッドは自分のことを「ミリー・ウィズ」と呼んで欲しいとのこと。デヴィッドは昔のコーチに、2000年代初頭に大活躍したレジェンドWTB『ジェイソン・ロビンソンのプレーの全てを観ろ』と指導された。そのロビンソンは、イギリスの漫画雑誌『ビーノ』に登場する、非常に足の速いキャラクターにちなんで「Billy Whizz(ビリー・ウィズ)」というニックネームで呼ばれていたため、ビリーと自分のミリーを掛けて「Millie Whizz(ミリー・ウィズ)」と呼んで欲しいというわけだ。

さて「God Save The King」で涙を浮かべていたデヴィッドのデビュー戦。開始13分に、SOホリー・エイチソンのループパスにドンピシャのタイミングで走り込み、目にもとまらぬ速さでゴールラインに迫り、そのまま笑顔でダイビング。顔を上げたデヴィッドは、満面の笑顔で駆けつけてきたエリー・キルダンと目を合わせ歓喜の抱擁。勿論、他のレッドローズのお姉さんたちも、笑顔で抱擁の輪に加わった。この試合の会場はデヴィッドが所属するブリストル・ベアーズの本拠地アシュトン・ゲート。アリアンツ・スタジアム以外での最高観客記録の26,000人を超える大観衆のこの日一番の声援がスタジアムを揺らした。

しかし、デヴィッドはHIAにより残念ながら途中退場を余儀なくされた。アビー・ダウの引退後、彼女がレッドローズの右ウイングとして長期的な解決策となるかどうかは、僅か20分間では一般的には判断できないだろう。

それでも自分はレッドローズの「ミリー・ウィズ」時代が幕を開けたと確信した。