640 女子カナダ代表の強さの秘密


2025年9月25日

カナダ女子代表がここまで強くなってきた背景には、選手育成、組織体制、資金・支援体制など複数の要因が絡み合っているようです。カナダラグビー協会の戦略的な取り組みが成果を上げており、その中でも特に大きな転機や強化方針を以下に整理します。

◆カナダが強くなったきっかけ・理由

1.「One Squad」戦略の導入
15人制と7人制の選手の融合を図る「One Squad」の方針が、選手層を厚くするのに寄与してきています。7人制でのオリンピックなど経験を積んだ選手を15人制にも参加させることで、スピード、アジリティなどの要素が15人制チームにも波及しています。

2. 若手選手育成の体系化と強化
1) Maple Leaf Academy:18〜22歳を対象とし、フルタイムでの高パフォーマンス環境を提供。技術・強度・スピードなど、総合的に「次世代の代表選手候補」を育てる制度。

2) RCDA(Rugby Canada Development Academy)
15〜18歳の選手のためのパートタイムハブ(地域拠点)を設け、強化環境、技術教育、戦略的トレーニングを実施。

3) 年齢別代表チーム(U18、U20など)の充実
国際試合や遠征など、若手に早い段階からトップレベルに触れさせる経験を与えている。

3. 資金調達と支援体制の強化
1) 年齢別プログラムを支える資金を集めるために Women’s Age Grade Rugby Fund の設立と、旅行・装備・トレーニングのコスト軽減を目指す施策。

2) 企業スポンサーやパートナーシップを結び、選手支援・キャリアサポートなどの体制を整える動き。

4. 多面的なサポート(Holistic Athlete)の育成
技術・戦術だけでなく、コンディショニング、栄養、メンタル、リーダーシップなど選手を「総合的なアスリート」として育てる環境を整備することが重点となっており、アカデミーでそのような支援が組み込まれています。

5. 組織・リーダーシップの多様化と強化
女子ラグビーの普及・指導・運営において、女性のリーダーシップ育成にも取り組んでおり、「Women in Leadership Fund」など、クラブ/州協会内外での運営側の女性参画を増やす動きがあります。これにより、政策・文化面での支援が強まっている。

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ちなみにカナダラグビー協会が、現在および将来に向けて明確に進めている/進めようとしている施策は以下の通りです。

◆ 協会の強化方針・今後の戦略

1. タレント発掘と地域拠点の設置
地方/州/高校レベルでの選手発掘を強化し、それをAcademyや開発ハブ(development hubs)につなげる。U18/U20プログラムなどの地域キャンプを定期的に行う。

2. 選手層の拡充と選手ローテーション
ケガ、フォーム低下、退役などに備えて「32人以上がいつでも戦える」体制を整えることを目標にしている。

3. 国際的な競争機会の増加国際テストマッチや大会への参加機会を増やし、強豪国との対戦を増やすことで、自チームの基準を持続的に引き上げる。

4. 支援インフラの整備
練習施設、トレーニングセンター(national training centres)、医療・理学療法サポート、栄養・リカバリー施設など、選手が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整える。Academyなどでこれらがやや整ってきている。

5. 資金とスポンサーシップの確保
Age‐grade fund やスポンサー契約、クラウドファンディング等を通じて運営資金を確保。選手への補助(遠征費、装備など)が少ない負担で済むようにする。

6. 管理・リーダーシップの育成と文化創り
運営・コーチング・審判・企画運営などで女性のリーダーを増やし、多様性とインクルージョンを強化することで、選手から管理する側まで女性の視点を反映させる文化を醸成する。

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これだけ協会が頑張ってくれれば、自然と強くなりますよね。日本協会は一体いつまで手をこまねいてるつもりなんですかね。海外の女子ラグビー事情を知れば知るほど、日本協会の無策ぶりに強い憤りを感じます。



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