632 レッドブル「翼を授ける」- アマナキ・レレイ・マフィと新生ニューカッスル


2025年8月14日

1877年に創設された当時はニューカッスル・ゴスフォースというクラブ名でしたが、1990年に本拠地を移転するとともに、クラブ名をニューカッスル・ファルコンズに改称しました。かつてはイングランドのレジェンド、ジョニー・ウィルキンソンさんや元日本代表の畠山健介さんが在籍していました。

もともと本拠地のニューカッスル・アポン・タインはイングランド最北部、スコットランド国境に近い街で、どちらかと言うとラグビーエリアの街ではないので、観客動員に苦戦していました。そして2018-19シーズンにプレミアシップ最下位に終わりRFUチャンピオンシップ(2部リーグ)に降格して以降は、さらに観客動員苦戦に拍車がかかりました(チームは翌年RFUチャンピオンシップで優勝してプレミアシップ再昇格)。近年は3シーズン連続で最下位に沈んでいます。以前のように下部リーグとの入れ替えがあれば良いのですが、ここ数年は、下部リーグの優勝チームがグラウンド収容人数と安全基準の要件を満たしていないため昇格できていないこともあり、ニューカッスルは降格しないで済んでいます。ただプレミアシップとしては、ニューカッスルはお荷物クラブであり、モラルハザードの原因だと揶揄されることもありました。成績不振による更なる観客動員数減少はスポンサー離れを招き、経営危機による未納の税金や未返済のパンデミック時の借入金などの累積負債総額は4千万ポンド(約80億円)と言われてましたので、個人的にはそろそろつぶれると思っていました。

そこに救世主として現れたのが、エナジードリンクの世界大手であるレッドブルでした。マーケティングの一環としてスポーツのスポンサー活動を積極的におこなってきたレッドブルは、当初エアレース、フリークライミング、バイクのようなエクストリームスポーツに力を入れていましたが、現在はF1などのモータースポーツや世界各地でクラブを運営するサッカー事業にも注力しています。スポーツメディアは「Red Bull to give Newcastle Falcons wings」(レッドブル、ニューカッスル・ファルコンズに翼を授ける)という見出しで記事を報じました。先月末には、クラブの借入金の処理も全て完了したとも報じられています。

クラブは少しお金に余裕が出来てきたのか、選手の補強にも注力し始めました。そこで白羽の矢が立ったのがマフィということなのでしょう。ちなみにアルゼンチンのSHシモン・ベニテス・クルスやクルセイダーズのFLトム・クリスティーらも契約しています。お先真っ暗だったニューカッスル・ファルコンズはニューカッスル・レッドブルズへと生まれ変わります。そしてプレミアシップ自体も最大の課題だったニューカッスル問題をクリアし、プレムと名称を変え、3チームが破綻した数年前の低迷期を脱して、どうやら希望の光が差してきたようです。

来季、1シーズン契約のマフィが大活躍し、契約延長の話が出るようになれば最高ですね。沢山、応援しましょう。



Lennyの#ラグビー豆知識

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