475 エディー・ジョーンズ新HC就任会見を聞いて思った事


2023年1月3日

【目指すは超速ラグビー】
日本代表エディー・ジョーンズ新ヘッドコーチ就任会見
(日テレスポーツ【公式】)


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まずは会見でエディーさんが語った言葉を、自動文字起こしソフトで文字にしてみました。
※動画17:45~21:26

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やはり先ほど申し上げましたけど、アイデンティティを持つことが非常に重要であって、我々が目指すところ、そのアイデンティティというのは「超速ラグビー」というところです。これは相手より速く走るだけではなくて、速く考えて、速く決断ができる、ということです。チームスポーツ、15人というのは結構チームスポーツの中で人数の多いスポーツだというふうに思いますけども、15人それぞれが素早く考えて、リアクションして、結束して、決断をして動くということが非常に大事ですので、1人1人のアクションだけではなくて、考えた方、頭の回転ですね、そういうところもラグビー脳として速くしていかなければいけない。これが今、非常に大事だというふうに考えています。

それから沢山の才能を育てていく、ということですね。日本のラグビーの基本はやはり大学ラグビーであるというふうに思いますので、常日頃、若い選手達の育成に力を入れてですね、彼らのポテンシャルを最大化してあげる、そういった努力が必要だと思います。勿論こういったことは片手間では出来ませんので、何か上手くシステムを作り上げて、高校から大学、大学からプロというふうな形で、上手く育っていくようなことを作りたいと思います。アイルランドが1つの例で、すごく人口は少ない、ラグビー人口は少ないんですけど、その中からですね、きちんとした可能性のある選手達のプールを上手く作っているので、そういったことも参考にしていきたいと思います。

3つ目ですけれでも試行?施行?思考?ですね、関係性、日本では例えば、大学は大学、社会人は社会人というふうに少しちょっと分かれているような気がするので、そういった所を1つの一貫性を持ったフィロソフィー、哲学、考え方の下でですね、1つのビジョン、1つの目標を目指して、同じように育成していくこと、そういったことが大事だと思います。ただ日本の長所としてはハーモニー、調和というものがありますので、その日本の特徴も活かせて、オールワンと言いますか、1つのエコシステムの中での選手の育成に取り組んでいきたい、という風に考えています。

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ポイントは大きく2つだと思います。
1. 日本代表のアイデンティティとしての「超速」ラグビー
2. 若い世代の育成及びそれを実現すべく一貫性を持った育成システムの構築

1. はエディーさん特有のマスメディア向けのキーワードと思われますが、日本人の特性を良く理解されたキーワードだと感じましたし、選手たちにもイメージしやすいものだと思います。

自分が注目しているのは2.です。前任者からは1ミリもこんな言葉は聞かれなかったと思いますし、実際エディーさんは既に全国高校ラグビーや大学選手権準決勝も視察しているので、説得力もあると思います。

エディーさんの言葉を具体的に考えれば、大学で活躍している選手を日本代表に招集したり、あるいはリーグワンでプレーさせるということだと思います。それには伝統とアマチュアリズムの名の下に凝り固まった大学ラグビーの構造を抜本的に改革する必要も出てくるかもしれません。これは日本ラグビー界では最もハードルの高いチャレンジになると思います。大学のラグビー協会や各チーム、あるいは選手個人の中にも、何のために大学ラグビーを選んだのか、何のために高校で有望な選手達を大学に入学させたのかという意見も出るでしょう。勿論、日本代表やリーグワンの活動を優先させるのであれば、学生の出席日数や単位などの現実的な問題にも直面することでしょう。

しかしエディーさんも言っていたアイルランドも既にそういうシステムを構築していますし、先のW杯を観れば、フランス、イングランド、アルゼンチンやオーストラリアなど20歳前後の若者が大活躍していたことからも分かるように、諸外国では若い選手を代表や国内トップレベルのリーグでプレーさせているのが現実です。この日本で、大学ラグビーの伝統や価値観を壊してまで、若手を育成するシステムを構築できるのか、エディーさんにとってはビッグチャレンジになると思いますが、エディーさんはこれまでも福岡堅樹さん、藤田慶和や山沢拓也らの大学生を日本代表に登用してきた実績があるので、それを具体的な仕組みとして構築できれば可能性もあるのかと思っています。

ただし、これにはエディーさん1人の力だけでは実現は不可能でしょう。日本ラグビー協会がエディーさんの意図をしっかり理解し、時にはエディーさんの代わりにリーグワンの協会や各チーム、また大学の協会や各チームに説得することも必要となるでしょう。個人的にはエディーさん云々よりも、日本ラグビー協会にこの断固たる覚悟があるのかの方が心配です。いずれにしろ大学の有望選手を上のレベルに引き上げて、きちんと育成できれば、日本ラグビーがレベルアップすることは間違いないので、エディーさんのチャレンジを期待を持って見守り、応援したいと思っています。

Lennyの#ラグビー豆知識

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