444 W杯の歴史に残る死闘 - フランス v 南アフリカ


2023年10月18日

2023RWC 準々決勝
フランス 28 - 29 南アフリカ

試合開始直後、ヘッキャ姿のSHデュポンの2本のキックで敵陣に進む。22mのラインアウト、よく見るとWTBプノーも参加している。圧倒的なモールでゴール前まで推し進め、ラストはプノーから大外のPRバイユへ繋いでトライ。フランスの周到に準備されたプレーだったと感じた。

続けてゴール前に迫ったフランスのラストパス。LOエツベスの懸命のパスカットで南アフリカはピンチを凌いだ。ここでフランスがトライを獲っていたら 12 - 0 あるいは 14 - 0 となっていて完全にフランスが試合の主導権を握っただろう。個人的には少し嫌な予感がした。

そして7分。敵陣10mくらいに落とした南アフリカのSHライナーからのハイパント。フランスはプノー、WTBビエル=ビアレ、CTBフィクーがジャンプしてるの対して、南アフリカはエツベス一人だけ。エツベスが触れたボールはフランス側に転がったが、ボールの着地点まで来ていたのにも関わらず、ジャンプはせずにボールの行方を見ていたWTBアレンゼがいち早く反応しボールを拾い上げゴールまで疾走する。FBラモスも追いつかなかった。アレンゼ改めてめちゃくちゃ速い。

7 - 7 からの17分。今度は南アフリカのSOリボックからのハイパント。フランスのLOウォキが弾いたボールを南アフリカCTBデアレンデがゲットしゴール前まで運び、最後はそのデアレンデがトライ。

フランスはW杯の開幕戦。オールブラックスの執拗なハイパント攻撃にラモスを中心としたバックスリーが完璧に対応して快勝した。南アフリカは当然この試合も分析したのだろう。ラモスが位置する手前の辺り、ちょうどラモスが届かない位置に正確にキックを落としてきた。そのいずれもがトライに繋がった。SHデクラークやSOポラードが先発かと思ったが、ピンポイントでも蹴れるライナーやリボックを先発した采配がここまではズバリ当たったと感じた。

21分。フランスはフェーズを重ね、ゴール前まで迫り反則を誘う。デュポンのクイックスタートからラストは大外のHOモーヴァカがトライ。12 - 12 で同点に。そしてコンバージョンを狙うラモスの元に南アフリカのWTBコルビが猛チャージ。どんな時でも全力プレーする姿勢とそのスピードは素晴らしい。自分の嫌な予感がどんどん膨らんでいく。

そして25分。敵陣22mでのフランスの攻撃。パスを出すデュポンの元にエツベスが猛烈にダッシュする。不完全なデュポンのパスがショートバウンドする。駆け寄ったFLコリシ。フランスがファンブルしたボールをデアレンデが拾い上げ、目にも止まらぬ速さでFLデュトイにパス。デュトイからパスを受けたCTBクリエルが大外も見て前進しながらキックパス。もの凄いスピードで上がってきたコルビがこれを拾いトライ。強靭なフィジカルを活かした前に出るディフェンスを軸として、ターンオーバーし、トライまで繋げた。これこそが南アフリカのやりたいラグビーなのだと感じた。

フランス 12 - 19 での30分。22mラインアウトからモーヴァカが走り込むサインプレイ。その後フェーズを重ね最後はまたしてもバイユ。19 - 19 の同点に。

39分、エツベスが危険なタックルでイエロー。ラモスがPGを決め 22 - 19 フランスリードで折り返す。前半のテリトリーはフランスが73%。圧倒的に攻めながらわずか3点のリード。しかもトライの獲られ方が良くない。自分のモヤモヤはずっと続いていた。

後半入って直ぐに南アフリカは4選手を交代させた。
コリシ⇒フーリー、LOモスタート⇒スナイマン、ライナー⇒デクラーク、リボック⇒ポラード いずれもこの試合活躍していたキープレーヤーばかり。この時点ではこの南アフリカの交代は何となく早すぎるのではと思った。

フランス 25 - 19 での66分。ゴール前の南アフリカの攻撃。ラストはエツベスがディフェンス3, 4人を引きづってトライ。凄いパワー。南アフリカのファンの間では、ゴール前でエツベスを突っ込ませることは「エツベス」というオプションらしい(笑)。。。いや、笑い事ではない。これで南アフリカが1点リードした。

68分。50m以上のPGをポラードが決めて、リードを4点に広げた。
ただ72分にはラモスがPGを決め、フランスが 28 - 29 と1点差に迫る。

そしてラストワンプレー、突進したフランスをデクラークがボールを引っこ抜き、アレンゼが大きく蹴り出し試合終了。

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1人少ない時間帯があったにもかかわらず、スクランブルディフェンスで耐えた南アフリカ。そして交代選手がことごとくチームの勢いを加速させた。特にスクラムのプレッシャーは凄かった。象徴的だったのが22m内でフェアキャッチした直後のプレー選択。通常フェアキャッチ後は、ドロップキックを選択して陣地を大きく前進させる。しかし南アフリカは22m内のスクラムを選択しフランスにプレッシャーをかけた。これでフランスは大きく動揺したはずだ。自分もめっちゃ動揺した。南アフリカのトライ4本中、2本がハイパントによるもの。1本は攻撃的なディフェンスから相手のボールをファンブルさせたもの。選手交代のタイミング、交代選手の層の厚さ、シンプルながら非常に的確なチーム戦術が勝利に導いた。

一方、フランスのガルティエ監督。個人的に気になったのは4点ビハインドの72分のPG選択。残り時間と南アフリカのディフェンス力やボールキープ力を考えたら強気にトライを狙った方が良かったのではないかと、今では思う。そして58分には大事なスクラムの前にPRアトニオを、また勝利していればPOTM級の活躍をしていたモーヴァカを64分に交代させた。この2人の交代はスクラムに大きく影響した気がする。逆にデュポンは最後まで引っ張った。勿論、顔にプレートを入れながらプレーしていたのだから普段と全く同じプレーが出来る訳はない。何度もデュポンの球出しがコンマ何秒遅れている場面が多く見られた。また珍しく判定に対してイライラしていたようにも見えた。

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フランスはずっと応援してきた。主力メンバーの出るTOP14の試合は全試合フルで観た。代表チームの活動を映す動画も追っかけてきた。開催国のフランスが優勝すると勝手に思っていた。だから月曜の朝、フランスが負けた時はかなりショックだった。もう続きのW杯は観ないでおこうと思った。

でも少し日が経って改めて試合を観返すと、結果は1点差ながら、南アフリカは勝つべくして勝ち、フランスは負けるべくして負けたと感じた。おかげで自分の中でのケジメもついた。引き続きW杯を楽しむとともにフランスが優勝する日まで応援しようと決めた。

Lennyの#ラグビー豆知識

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