051 トニー・ブラウンのタフガイ伝説
2008年10月、試合中に受けたタックルが原因で入院、診断は外傷性膵炎でした。外傷性膵炎は交通事故でまれに起きるもので、外からの激しい圧力によって膵臓から消化液が漏れ出して、膵臓自体や臓器を溶かしてしまうものです。
緊急手術をしましたが、普通の人間ならショック死する状態だったそうで、ドクターからは『生きているほうが不思議だ』と驚かれました。生きるか死ぬかという手術を受け目が覚めた瞬間ブラウンさんは、『あぁ、ラグビーの試合をした夢を見た』と言ったそうです。
当初ドクターからは『ラグビーはもちろん、完治するのも難しい』と言われました。食事を摂れば膵臓から消化液が漏れ出すので何も食べられないので、腸に管をつけて、直接栄養を入れていましたが、手術から2カ月間で一気に12、13キロ痩せたそうです。
ところがその3カ月後のTLのプレーオフ決勝前、ドクターに『オレは出る』と告げ、ドクターストップを振り切ってピッチに立ちました。
奇跡的にピッチに戻ってきたブラウンさんは、サンゴリアスとの決勝の後半14分、3対9とリードされた場面で登場、劣勢を挽回するプレーをいくつも披露しました。後半25分には自陣でこぼれ球を奪うやいなや、素早く展開してビッグゲインしました。結果、三洋電機(現パナソニック)は24対16で勝利し、日本選手権連覇を達成しました。
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