029 語録 - 清宮 克幸


① 早稲田監督時代(2001-2006)


2002年、グラウンドが東伏見から上井草に移転

グラウンドがなくなる最後の年くらい、グラウンドの上でジャージーを配って、『荒ぶる』を歌ってもいいんじゃないかと思ったんですよ。試合に勝つための何か特別なパワーを学生たちに授けたいと思ってそうした。全部員ひとりひとりに声を掛けて、お守りを渡して。自分にできることをすべてやりたかった。



東伏見のグラウンドが懐かしいなぁと。これはよく言っているけど、東伏見のあのコントラスト。決勝の頃になると、枯れた木々があって、まったく無色のグラウンド、そして大きな夕日、乾いた風…



2003年、13年ぶりに全国大学選手権優勝、監督として歌った『荒ぶる』とは?

仲間たちと勝ち取ったものであり、ワセダでラグビーをしたという証。『荒ぶる』があるからみんなが集う。『荒ぶる』があるから踏ん張れる。そういうものです。



2003年、ラグビー日本選手権1回戦、大学王者の早稲田はリコーと対戦し、31-68と完敗

『討ち死に』とは言いませんよ。やっぱり社会人と戦うことには意義がある、やってよかったなと思います。



2004年、オックスフォード大に12度目の対戦で悲願の初勝利をおさめた

あの勝利は嬉しかったですね。オックスフォード大が強かったらもっと盛り上がったんですけど(笑)。僅差の接戦だったら、なおよかったのにと(笑)。



2005年、日本ラグビー協会会長の森喜朗さんに初めて会って

森さん、ラグビーの未来を考えなかったら、会長なんてやっても意味ないですよ。



2006年、大学選手権決勝、関東学院を41-5で下し、2年連続の優勝を果たす

何でラグビーをやるのか。究極は、泣くためですね。涙を流すために俺はやってる。そういうことですよ。



いままでのチームより間違いなく強いんだという意識を持たせるのが最大のポイントでした。 そのことを証明するために試合があるのだと。


② サントリー、ヤマハ監督時代(2006-2019)


2007年、サントリーの監督就任1年目、「東芝を倒す」とメディアを通じて挑発していた王者と、マイクロソフトカップの決勝戦で対決。13-14で試合は惜敗。試合後の会見で、涙を流しながら

悔しさがフツフツと湧きあがるまで落ち込みます。



2015年、ヤマハ日本選手権初優勝に歓喜するファンを見て

あのバックスタンドの、あの姿が見たくてこの仕事をやっている。必然の勝利、間違いないです。



2015年ラグビーワールドカップ、日本対南アフリカ戦、南アフリカは反則を12回も取られた

ワールドカップの本番では一流国でさえパニックに陥るんです。



2019年、ヤマハを勇退

監督への未練は、もうないですね。監督として、日本ラグビー界にメッセージは伝えられたと思いますよ。廃部寸前だったチームが、たった4年で日本選手権で優勝できた。弱者が強者に勝てることを証明できたわけです。どうしたら弱者が強者に勝てるかを突き詰めると、いまのヤマハのようなスタイルに行きつく。オリジナリティを追求すれば、それは強みになる。ヤマハのスクラムは、今やトップリーグのスタンダードになった。


③ その他


『なぜ』がすべての出発点なのだ。



きっとうまくいくと考えて、いつもプラスに発想する。あれこれ悩まない。それが勝負に勝つ秘訣。



『なんでこの上司に命令されるんだ』など、負のエネルギーに向かわないようにすることが重要です。むしろ、この経験が自分の人格を磨いてくれていると感じてほしいのです。



本気で勝負をしなかった人間は、真の意味での仲間、一生大事にしていける友人をつくることはできない。



ワセダラグビーの真髄とは、ここまで関わった人たちの情熱、魂、絆ではないでしょうか。



押されたことを怒るのではなく、押された原因を作っているプレーヤーが必ずいる。それを怒る。



ああなったらどうしようという、予防線は張らない。



思うことはどんどん口に出す。謙虚に生きたって、人生面白くない。



重要なのは、あらゆることができるようになろうと全方位的に努力することではありません。目標を達成するためにクリアしなければならない課題は何かを、きちんと見極めることです。



目指すものを数値化したり、ビジュアル化する。結果を比較できるようにすると、自分の成長を事実で理解できるようになる。



どんな競技でも強いチームというのは絶対的に明るい。例えば打ち上げで『今日は羽目外していいぞ』となったらドッカーンとバカ騒ぎをする。そして『はい、終わり』と言えば、スッと正常に戻る。暗くて強いチームなんて見たことがない。



勝つためには戦力も無視はできませんが、チームスポーツの場合、最も重要なのは『これは俺たちしかやっていない』というオリジナルなものを全員が共有した結果生まれる『結束力』や『プライド』です。



成功と失敗を自分で経験していって、だんだん成功するプレーを選択するようになっていくんです。




Lennyの#ラグビー豆知識

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