リーグワン最大の目玉 - マーク・ナワンガニタワシ
2026年10月05日
今季のリーグワンカテゴリC最大の目玉は、パナソニックに加入するマーク・ナワンガニタワシだと、個人的に思っていますので、いろいろ紹介します。
彼の最もポピュラーな愛称は “Marky Mark”(マーキー・マーク) です。フィジーにルーツを持つ彼の苗字「Nawaqanitawase(ナワンガニタワシ)」は、全7音節からなる非常に長くて発音が難しい名前です。2020年に15人制のNSWワラターズでプロデビューした際、チームメイトやコーチ陣、さらにはコメンテーターたちが「苗字が難しすぎて上手く呼べない!」となったため、ファーストネームの「Mark」をもじってシンプルに “Marky Mark” と呼ばれるようになりました。ちなみに私は「タワシ」と呼んでいます(笑)。
タワシもといマークが所属するシドニー・ルースターズは、昨日行われたNRL(ナショナル・ラグビー・リーグ:13人制)のグランドファイナルで優勝を果たしました。ルースターズはニューカッスル・ナイツと対戦し、19 - 18 の大接戦を制して2019年以来、16度目のリーグ制覇を達成しました。マークは、この大一番で2つのトライを決める大活躍を見せ、チームの逆転優勝に大きく貢献しました。私はハイライトしか観ていませんが、高さや強さや速さは本物の印象です。ただ、ラックもスクラムもラインアウトもない13人制は、個人的には違和感ありまくりで、好きにはなれません。ようは、別の競技と考えた方が良いのでしょうね。
マークのワラビーズのキャップは11、トライも6トライ挙げています。2023W杯も4試合全て先発し、2トライを挙げました。これから世界的に有名になるな!と思ったのも束の間、例の監督が率いていたワラビーズは、史上初となる予選プール敗退を喫しました。それにガッカリしたのかは分かりませんが、その年の12月に13人制のシドニー・ルースターズと契約しました。これからはマークがワラビーズの中心人物の1人となると確信していましたので、個人的にはこのニュースには驚きました。ルースターズとの契約は単年50万豪ドルと報じられていました。本格的にリーグデビューした2025年には新人王になり、秋にはリーグのオーストラリア代表入りして3試合に出場。そして今年はステート・オブ・オリジン※1にニューサウスウェールズ(NSW)ブルースの代表として選出され、2試合出場して2トライ。ルースターズの公式戦では、ここまで46試合で45トライの活躍ぶりを見せています。
さて、そんなマークがNRLの契約を延長せず、スーパーラグビーにも復帰せず、リーグワンを選んだ理由を勝手に考えてみました。
1. NRLのサラリーキャップを遥かに超える「破格の年俸」
NRLには厳しいサラリーキャップ(チーム総年俸の制限)があります。マークがルースターズで求めていた契約延長の希望額は年間約70〜80万豪ドル(NRLのWTBとしては最高峰)とされていました。一方、日本のリーグワンチームが提示した条件は年俸100万豪ドルの2年契約※2という、NRLでは絶対に支払えないレベルの超破格のオファーとのことでした。金額面で日本が圧倒していたのが、決断の大きな要因だと思います。
2. W杯代表資格の緩和とコンディショニング
そして重要なのが、海外でプレーしても「オーストラリア代表に選ばれる道」が残されている点だと思います。
以前は海外組の選出を厳しく制限する「ギタウ法※3」がありましたが、現在はこれが柔軟に運用(または事実上の撤廃方向へ)されており、日本にいても実力があれば2027年W杯の代表に選ばれます。また、NRLは非常にフィジカルな衝突が激しいことに加えて、シーズン中の過密日程で身体への負担が極めて大きいリーグです。それに比べ、日本のリーグワンは試合数が比較的少なく、シーズン期間も短いため、「高額な給料を稼ぎながら、最高のクラブ環境(パナソニック)で15人制の感覚を取り戻し、身体をフレッシュな状態に保って2027年W杯に挑む」という、マークにとって完璧なスケジューリングが可能になります。
マークは192cm/100kg。スピードもハンドリングスキルも強さもあり、ハイボールも優れています。恐らくクボタのFBスティーブンソン並みに、あるいはそれ以上に活躍するのではと期待しています。ただオレンジアーミー&沢木ストとしては、ほどほどの活躍に留めておいて欲しいところです(笑)。
※1:ステート・オブ・オリジン
オーストラリアで毎年開催される、13人制ラグビーの最高峰にして最も熱狂的な伝統の3連戦(3試合制のシリーズ)です。オーストラリアを代表する2つの州、ニューサウスウェールズ州(チーム名:ブルース)と、クイーンズランド州(チーム名:マルーンズ)がプライドをかけて激突します。
※2:
オーストラリア代表11キャップのマーク・ナワンガニタワシが2026-27シーズンより埼玉パナソニックワイルドナイツに加入。
(ラグビーリパブリック)
※3:ギタウ法
海外クラブでプレーする選手であっても、代表戦の出場資格(キャップ数)が一定数に達していれば代表招集を認める例外規定です。オーストラリアラグビー協会は本来、国内クラブに所属する選手のみを代表に選出する方針をとっていましたが。2015年のW杯に向けて、当時フランスのクラブでプレーしていた名選手マット・ギタウを代表に復帰させるために新設されました。
