逸材からエースへ - 浅利 那未


2026年9月28日

北川新体制になってからのサクラフィフティーンは、ここまでフィジー、イタリア、アイルランドと戦い3連敗。敗因は火を見るよりも明らかだ。「BKの実力不足」。これに尽きる。ちなみに3試合のトライ数の合計は9。その9つ全てがFWによるトライだ。特に両WTBが「点は獲ってくれない」「ディフェンスはあっさり抜かれる」「ポジショニングがめちゃくちゃ」では、FWがいくら頑張っても、限界がある。



その中でも突出したパフォーマンスを発揮しているのが、FL浅利 那未(あさり なみ)だ。初キャップのフィジー戦で衝撃のデビューを果たした。そして昨日のアイルランド戦まで、その衝撃は続いている。浅利の一番好きなところは「表情」だ。時折、カメラに抜かれる表情は、18歳とは思えないほど落ち着いている。そしてその落ち着いた表情の中の眼だけはギラギラとした闘志に溢れている。早くも紅蓮の境地に達している印象だ。

浅利の簡単なプロフィールと今季3試合のスタッツを紹介する。

◆ プロフィール

・生年月日:2008年2月1日(18歳)
・サイズ:身長171cm / 体重62kg
・出身:関東学院六浦高校、現在、法政大学1年生
・所属:横河武蔵野アルテミ・スターズ
・憧れの選手:エベン・エツベツ(ボクス)
・目標の選手:ジョージャ・ミラー(ブラックファーンズ)

◆ フィジー戦(デビュー戦)

・出場:80分
・キャリー:9(チームTOP)
・タックル成功数:27(両チームTOP)
・ドミナントタックル:4(両チームTOP)
・トライ:1

◆ イタリア戦

・出場:80分
・キャリー:14(チームTOP)
・ラインブレイク:1(チームTOP)
・タックル成功数:18(両チームTOP)
・トライ:1

◆ アイルランド戦

・出場:80分
・キャリー:13(チーム2位)
・ラインブレイク:2(両チームTOP)
・タックル成功数:23(両チームTOP)
・トライ:1



北川HCは、18歳の浅利をいきなりフィジー戦の6番で先発起用した理由を、こう話している。

- 素晴らしい身体能力
- ラグビーの知識がある
- 向上心が高い
- 将来、日本代表を引っ張るFWになってほしい

もちろん、現段階で18歳の選手に完成形を求めるべきではない。本人も「知識も経験も全然なく、皆さんの言葉をスポンジのように吸収している」と話している。ただ、「身体能力の高い若手」というだけではなく、すでに自分の弱点を認識して、それを1対1の強化など具体的な努力で補ってきた選手であることは重要だ。

そして現在、北川HCが掲げる「ファストラグビー」の中では、こうした走れるFW、動けるFWは非常に重要になる。ここまでのパフォーマンスや3試合連続トライを見ても、浅利は「期待の若手」という段階から、サクラフィフティーンの次世代を担う可能性が具体的に見えてきた選手、いや既にサクラフィフティーンのエースとして見てよいところまで来ていると思う。

今後「浅利を6番で育てるのか、それとも将来的に5番・8番まで含めて大型ユーティリティFWにするのか」は、かなり興味深いテーマになりそうだ。

最後に本音を言えば、浅利には海外でプレーして欲しい。国内リーグも無く、試合も関東/関西大会と全国大会だけの年数試合しか行われない、世界から見れば「最低レベル」の日本女子ラグビー環境に身を置くのは勿体ない。これから身長も体重も大きくなるかもしれない。イングランドのプレミア女子やフランスのエリートワンに移籍してワールドクラスの選手になって欲しい。それくらいの選手だ。