日本 vs フィジー


2026年9月19日

PNC決勝
日本 20 - 15 フィジー

試合開始早々、日本のスクラムに手ごたえを感じた。

7分、FBグリーンのPGで日本が先行。

8分、フィジーのハイボールをWTB長田が背走しながらキャッチするも、フィジーにハードヒットをくらいファンブル。こぼれ球をHOイカニヴェレが足にかける。グリーンがなんとかインゴールでキープ。フィジーボールスクラムから元フランス代表のCTBバカタワがミスマッチのSH齋藤を吹っ飛ばし、最後は2, 3人に囲まれながらもグラウンディング。ゴールも決まり 3 - 7 とフィジーが逆転。

ただ、段々とフィジーの反則が目立ってくる。

15分、敵陣でペナルティを貰った日本はショットを選択するもグリーンが失敗。ここまでラインアウトモールがかなり優勢だっただけに、トライを狙って欲しかった。

18分、フィジー反則の繰り返しで、PRドンゲがシンビン。

21分、フィジーの反則を起点に敵陣ゴール前まで攻め込んだ日本。今度こそラインアウトモールを選択しグイグイ押し込む。最後はHO原田がグラウンディング。ゴールも決まり 10 - 7 と日本が逆転。

23分、フィジーのラインアウトをLOホッキングスが見事なスティール。ただ道中でグリーンが全く意図不明なプレゼントキック。フィジーにアンストラクチャーを作らせたら危険なことは分かってるはずなのに、自らチャンスを与えるプレー選択。グリーンを信頼できない理由はこれだ。このプレーが起点になりフィジーは日本陣内に侵入。フィジーのラインアウト。スローワーのイカニヴェレが一番前に回り込んできたFLマリーにパス。すぐさまイカニヴェレへの見事なリターンパス。そのままイカニヴェレが走り切り、10 - 12 とフィジーが逆転。

34分、フィジーが日本ゴール前での連続攻撃。日本はなんとか踏ん張り、最後はフィジーの二―リングでピンチを逃れる。FWの頑張りが目立つ。

39分、敵陣ラインアウトで原田がノットストレート。そのまま前半終了。

43分、日本がピッチ中央付近でのドライビングモールで大きく前進。そこからFLガンターが飛び出すも、ラックの球出しでSH齋藤がノッコン。この試合、なんとなく齋藤が疲れてるような印象。汗で滑るのか、齋藤に限らず、ここまでの日本はノッコンが目立つ。

49分、長田の強烈なタックルが相手のノッコンを誘う。これこそ長田の真骨頂。

54分、日本が2連続のゴール前ラインアウトモールを獲りきれず。チャンスを逸したかと思ったが、次のフィジーボールスクラムで日本が押し込む。ラックにNo.8マキシが潜り込み、値千金のジャッカル。このタイミングでSH藤原登場。秩父宮のボルテージが上がる。スクラムからフェーズを重ね、最後はガンターが逆転のグラウンディング。時間はかかったが、獲りきれたのはデカい。しかしグリーンがまたもコンバージョンを外す。予断は許さない。

64分、CTBライリーが自陣でノットリリース。フィジーがPG成功、これで 15 - 15。

68分、フィジーのハイボール。替わって入ったWTBコストリーが背走しながらキャッチ。後ろのグリーンに渡すもノッコン。フィジーがそのまま攻撃するもノッコンで助かる。エスコート(相手を護衛するように進路に入る行為)や、危険なチャージ・妨害に対する取り締まりが厳しくなったとは言え、前の選手が後ろに下がりながらのキャッチは、まず取りにくい、後ろから迫ってくる相手が見えないなど、デメリットの方が多い気がする。少なくとも今の日本代表には合っていない印象。

69分、日本陣内でフィジーがオフサイド。キックでフィジー陣20mに侵入。ラインアウトモールを押し込み、ラックから出たボールをCTBトゥアの左右の見事なステップから値千金のトライ。久々鳥肌が立った。しかし、SO龍之介のコンバージョンが外れる。20 - 15。

残り2分。フィジーのアーリープッシュで日本のフリーキック。ここで日本はハイパントを選択するが、この選択は疑問。チョン蹴りで攻撃権を渡さない選択をして欲しかった。勿論、フィジーは回してきたが、ここでFL下川が乾坤一擲のビッグタックル。フィジーを外に押し出した。これで勝負ありだ。



この試合は、単に「日本が粘って勝った」という試合ではない。むしろ、フィジーが得意とする個の破壊力と自由なアタックを、日本が80分間にわたって組織で封じ込めた試合だった、と見るべきだろう。

2年前のPNC決勝では 17 - 41 と完膚なきまでに叩かれ、昨年も 27 - 33 で敗れた日本が、ついにフィジーを倒した。しかも今回は、フィジーの攻撃力を正面から受け止めながら、最後は自分たちの強みである規律、セットピース、接点、そして試合中の修正力で上回った。フィジーの華麗なランニングラグビーに対して、日本は華麗さではなく、セットピースとフィジカルで回答した。

原田のトライ、そしてガンターのトライ。さらにトゥアが決勝トライを奪う。3本のトライはいずれも、個人技だけでなく、FWの前進、接点での仕事、継続的なプレッシャーの延長線上に生まれている。

もう一つの勝因は「守備で我慢できたこと」。

今回の日本代表を評価するうえで、攻撃よりもむしろこちらを強調したい。日本はフィジーに何度も攻撃されながら、守備組織を壊さなかった。34分のフィジーの攻撃を日本が凌いだ場面は、その象徴だ。さらに後半もフィジーは66分、敵陣深くでスクラムを得て逆転の機会を迎えたが、日本はそこも耐えた。そして、その直後の71分にトゥアが決勝トライ。

ラグビーでは、こういう局面を「試合の流れ」と呼ぶだろう。しかし、この流れを偶然で済ませてはいけない。守り切ったから、最後に攻める権利が日本へ戻ってきた。ここには、前回のオーストラリア戦などで露呈した「後半に崩れる日本」とは明らかに違う姿がある。

フィジーはボールを持っている時間には危険でだった。しかし、一つひとつの攻撃を得点に変える精度、相手陣深くでの規律、そしてプレッシャーを受けた際の継続性で日本に上回られた。さらに、守備では日本のFWによる連続攻撃に耐えきれず、後半の重要な局面で接点を押し込まれた。つまりフィジーは「攻撃力で日本を上回れなかった」のではない。攻撃力を勝利へ変換するための80分間の精度で日本に敗れた。

アメリカ戦のようにBKが多角的に走り回る試合だけではなく、フィジー戦ではFW、モール、接点、守備(タックル成功率:86%)、キック、規律(反則わずか5つ)、陣地管理で勝った。つまり日本が今回手にしたものは、単なるPNC優勝ではない。「攻撃が機能しなければ勝てない日本」から、「攻撃が止まっても試合そのものを失わない日本」への変化だ。

フィジーは最後まで危険だった。それでも日本は崩れなかった。日本代表がようやく、自分たちのラグビーを点を取るための戦術から、80分を勝ち切るためのゲームモデルへ進化させ始めたことを示す試合だった。

そして10月24日、再び秩父宮でフィジーと対戦する。今回の 20 - 15 が一過性の勝利なのか、それとも日本がフィジーとの力関係そのものを変え始めたのか。そこが次のテストで問われることになる。



死闘だった。いくつかミスもあった。局面での判断に疑問もあった。それでも

「よくやったよ、日本。ありがとう!」

日本を応援してて、首脳陣絡みで色々イヤなこともある。納得できないこともある。でも試合終了直後の伊藤をはじめ、みんなの笑顔が見たいから応援してる。お陰で今日もべらぼうに酒が美味い!!