日本 vs アメリカ
2026年9月12日
PNC 準決勝
日本 63 - 14 アメリカ
流石に「日本、快勝!」と言って良いのではないでしょうか。
カナダ戦は 57 - 12 という大差勝ちでしたが、内容を細かく見ると、ブレイクダウンで後手を踏んだり、攻撃の大事な局面でミスが出たりと、スコアほどの完成度ではありませんでした。
それに対して今日の試合は「相手を上回った」のではなく、「相手を動かしてから仕留める」場面が増えた。ここが大きな違いだったと思います。
特に印象的だったのは、やはりBKの攻撃です。
これまでの日本代表は、9番から10番、10番からCTBという比較的オーソドックスなライン攻撃に依存し、そこが止められると攻撃全体が停滞する時間帯がありました。ところが今日は、外へ振るだけではなく、10番の突破、内側への走り込み、CTBの縦突破、WTBの外側への展開、FBのライン参加と、相手DFに「次に何が来るのか」を簡単に読ませないアタックが出来ていました。
BKが相手の守備を崩し、その崩れをFWが仕留める。あるいはFWが前進して生まれたスペースをBKが仕留める。今日の日本には、この相互作用ががかなり見えました。
「速く攻める」のではなく、相手の守備構造を動かしてから空いた場所を攻める。ここに今日の日本代表の進歩があったと思います。
ランブレイクのスタッツを見ると、日本は8個でした。特にFBグリーンが2個。これまでの日本代表は、ライン参加したFBが綺麗に抜けるシーンは殆どなかったと思いますが、これも今日の日本代表のアタックが多角的に攻められていたことの象徴だと思います。
ラインアウトは後半やや苦戦しましたが、スクラムは終始優勢で、ラインアウトモールでも圧倒できました。ブレイクダウンも、フィジカルが売りの割にはあまり迫力の無かったアメリカのお陰もあり、終始優勢でした。
そして、個人的には得点数以上に評価したいのが、試合が停滞したときの修正力です。
これまでの日本代表には、予定していたゲームプランが機能しなくなったとき、別の手段へ切り替えるまでに時間がかかる印象がありました。今日の試合では、停滞がさほど永続しない。少し流れが悪くなっても、次の局面では攻撃の形が変わっていました。例えば、1stレシーバーがCTB廣瀬でCTBの位置にSO龍之介が入るなどです。これは単なる「修正力」という言葉以上に、選手たちが試合を読みながらプレーできるようになってきたということではないでしょうか。
そして後半、アメリカの時間帯をほとんど作らせずに完封できた集中力や控え選手の躍動は見事でした。
ただ、ハイボール処理には相変わらず課題が残っていると思います。試合中カウントしただけなので、抜けはあると思いますが、こんな感じでした。
・競らずに勝ち:1
・結果マイボールになった:3
・競り負け:6
「エスコート(ブロック行為)」の厳罰化の影響で、日本は前の選手が下がりながら捕るのを徹底しているようですが、最後尾のFBグリーンに譲る方が良かったケースも見受けられました。ただ、完全に後ろにはたいたボールがトライに繋がった場面もありました。チーム内のルールの見直し含め、役割や戦術をもう少し明確化する必要を感じました。
あと前半「2」だったペナルティが、後半だけで「8」も要反省ですね。
個人では、CTB廣瀬の活躍が印象的です。最初のゴリゴリのトライをはじめ、攻撃の起点になったり、自分でランしたり、キックパスもしたりと、12番らしいパフォーマンスだったと思います。
齋藤、龍之介のコンビも少しずつ良くなってると思います。
CTBライリーも久しぶりに良かったですね。
WTBブルアは代表に欠かせない存在になりつつあると思います。
FBグリーンはプレースキックも含め、これまでの出番の中で一番良かったと思います。
WTB?のコストリーもキレキレでしたね。
FWは誰が出てもあまり力の差は無くなってきたかと思うくらい、各人が力を付けている印象です。個人的にはLOストーバーグのトライが特に嬉しかったです。
今日、「自分たちで試合の流れを動かしながら勝った」のは、W杯まで約1年というタイミングを考えれば非常に大きいと思います。
イタリア戦で見えた成長、オーストラリア戦で突きつけられた課題、カナダ戦での大勝、そして今日のアメリカ戦。まだ一直線に進んでいるわけではありません。しかし、少なくとも今日の日本代表には、「ただ速く、ただ若く、ただ走るチーム」から、「相手を見て攻撃を変えられるチーム」へ進もうとしている姿がありました。
今日の最大の収穫は、63点でも9トライでもなく、「攻撃の引き出しが増えたこと」と「停滞を自分たちで打開できたこと」だと思います。
そして、この2つが本物なのかを測るには、いよいよ次の試合が重要です。PNCの決勝を経て、秋の欧州勢との戦いへ向かう。日本代表が今日見せたこの多角的なBKアタックと修正力を、より強い相手に対しても再現できるか。
そこまでできれば、今日の 63 - 14 は単なる「アメリカに大勝した一戦」ではなく、2027年W杯へ向けた日本代表の転換点だった、と後から振り返れるかもしれません。今回の試合は、少なくともその可能性を感じさせる内容でした。
やっぱり気持ち良く勝つと酒が美味いですね!!
